皆さんの食べているバナナはほとんどが輸入されています。
輸入されるバナナは、植物防疫法により緑色(加工者は青バナナと言う)をした未熟な状態のバナナのみが陸揚げされ、各加工業者へわたり、色付け作業(追熟加工)をしています。
スーパーや八百屋さん、果物屋さんで緑のバナナってあまり見たことがないですよね。緑の未熟なバナナは硬く、渋く、そのままではまったく食べられる状態ではありません。
バナナ加工は単に色付けを行うだけではなく、バナナの糖度を上げたり、棚持ち(日持ち)を良くしたりとバナナの商品価値を高め、且つみなさんに美味しいバナナを届けるため、各加工業者さんは日々研究をしながら加工しています。
バナナなんて自然に色が付くだろう?って思っている方もいるかもしれません…その通りです。バナナは自然に色が付きます。
しかしバナナの加工にはいろんな要素が絡んでいますので、美味しいバナナにするには難しいのです。
バナナの加工(色付け)のことを追熟加工または熟成加工といいます。
第一に温度です。
バナナは熱帯原産果実のため、寒さに弱く13℃以下になると低温障害を受けてしまいます。そう、バナナが風邪を引いてしまうのです。バナナが風邪を引くと果皮の色がきれいな黄色にはならず、ちょっとくすんだ色になってしまいます。また、25℃以上になると逆に高温障害を受け、果肉も果皮も柔らかすぎてしまい商品としての価値は著しく低下してしまいます。
バナナはフィリピンや南米エクアドルなどから輸入されてきますが、その輸送中は13℃〜14℃にてバナナを眠らせて来ます。その温度以上になりますとバナナは色が付いてしまい、
日本への陸揚げ出来なくなってしまいます。
輸入されたバナナは一旦温度を上げ、バナナを起こし、あとは色の進行具合により温度を下げていきます。輸入されたバナナが商品として出荷されるまで、約4日〜7日程かかります。
第二に湿度です。
湿度は高めに保つほうが望ましいとされています。
乾燥したところでは果皮がカサカサ、果肉もパサパサになってしまい、みずみずしくおいしいバナナは出来ません。しかし、黄色になりはじめたら湿度は下げないと果皮が柔らかくなってしまいます。
第三に換気です。
温度を上げてバナナを起こした時にエチレンガスを入れ20時間〜36時間程密閉状態にします。(エチレンガスとは青果物が分泌する植物ホルモンの一種で、自らの熟成を促します)
これによりバナナは完全に目を覚まし、自らエチレンガスや炭酸ガスを発生します。(バナナは呼吸をするのです)よく、未熟のバナナとりんごをビニル袋に入れるとバナナが食べられるようになると聞いた事があると思います。これはりんごが発生させるエチレンガスの効果によるものです。
その後、バナナは呼吸を活発に開始しますので、定期的に換気をしてやらないと酸欠状態になりバナナは腐敗してしまうのです。
一昔といっても昭和30年代位です。
加工業者へ渡ったバナナは地下にあるムロ(ムロと呼ばれる洞穴のような感じかな)へと入れられます。
ムロの上部の木板の上に氷を載せて、ムロの下方には都市ガスあるいはプロパンガスなどのコンロ、炭火七輪などを用いて加熱します。
氷からの水分と燃焼による水分、あるいは地下水の浸透により、ムロ内は十分に加湿され、また、氷の量や燃焼時間などでムロ内の温度調節を行い追熟をしてきました。
この方法は地下で燃焼させていることにより、酸素不足による酸欠事故やガス漏れによる中毒事故、爆発事故を起こし大変危険な方法で同時に温度の調節が難しく熟練者しか出来ないものでした。
もう昔の地下ムロはほとんどなく地上式が主流で、またここ最近ムロへバナナを入れるのも手作業からフォークリフトで輸入されたパレットのままいれるのが主流となってきています。
温度の上昇・下降もヒータや冷凍機、加湿も加湿器、換気もムロ内の炭酸ガス濃度を測定し自動換気と全て自動制御となってきております。
また、近年コンピュータを使用し5〜30ムロを集中管理し全て無人運転と、経済的・合理的にバナナの追熟加工が行われています。
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